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シンガポールで売るマーケターのブログ

Category: マーケティング一般

シンガポールでは卵子ではなく私たちが凍らされている件

どうも、32歳子無しマーケターです。

凍結した卵子でご出産された44歳女性の記事を見て、極寒のシンガポールから現地レポートをお届けしたくなった。「え?シンガポールって、常夏の楽園なんじゃないの?」と思ったあなた。私も今まではそう思って暮らしてきたし、事実気温計は今も29度を指している。でも寒い。それでも寒い。何がって、心が寒い。

そう、今シンガポールには、子無し女性を凍らせる大寒波が到来しているのである。

先日、アラサー女二人でビーチに行き、赤ワインで気持ちよく酔っ払った帰り道のこと。上機嫌で乗換駅シティホールに降り立った私たちを待っていたのは、駅全体を精子くんと卵子ちゃんが懸けめぐる、こんな大規模広告だった。

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もうやめて!私たちアラサーのライフはゼロよ!

広告主は「I love children」なるNPO法人。出生率向上を目指して、2005年から活動してるらしい。当然このキャンペーンには、「デリカシー皆無」「傷ついた」「品がない」など多くの批判が寄せられているわけなんだけど、担当者は「まあ、わざとです」と余裕のコメントを発表。むしろ、反響が多くてウハウハらしい。

うーん。「まだ産まなくていっか」と人生を謳歌している子無し女性としては、すごく痛いところを突かれて凍ったよね、バキバキにね。でも、早く産まなきゃ妊娠しにくくなるのは事実だから、なんにも言えない。「ぐぬぬ」しか出てこない。

そしてマーケターとしては、予算を投下してメッセージを伝えるなら、これくらい強烈にやるべきなのか、って一抹の思いもある。少なくとも、当たり障りのない広告では得られなかった認知度を獲得してはいるわけだから。

けどさ。負け犬の遠吠えかもしれないけど、あたしこの広告見て「よし!じゃあ今夜は夫と頑張っちゃおうかな☆」って気分には絶対ならないよ。こういうキャンペーンの短期的な目標として「まず知ってもらうこと」「話題にしてもらうこと」はたしかに有効。でも、一番大事なのはそのNPOが最終的に目指してるゴールを達成することだと思う。というわけで次回は、「よっしゃ、子供作ろうぜ!」って気分にさせてくれるキャンペーンをお願いしますねI love childrenさん。え、言われなくても作れって?も、もうやめて……。

「自薦の壁」と観光大使

 

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先日、高橋はるみ知事がシンガポールまでお越しになった際、海外向け北海道観光大使「ほっかいどうスマイルアンバサダー」として任命していただいた。日本人初、シンガポール初のスマイルアンバサダー。身が引き締まる思いというのは、まさにこのこと。

今回北海道庁の方からお話をいただいた際、思い出した出来事がある。

あれは確か、2年ほど前のこと。ニンジャガールズプロジェクトがある程度認知され、シンガポールの新聞各紙に取り上げてもらえるようになり、日本のテレビでも大きく取り上げてもらえるようになってきた頃。私はシンガポール政府観光局にアポを取った。ある程度影響力がついてきたと思った私は、これをシンガポールの観光誘致に役立ててもらおうと、自らボランティアを志願しに行ったのだ。しかしこれが当時の私のバカなところで、イベント等で会う大臣や政府高官に直接申し出れば良かったものを、「そういう方達のお手を煩わせるのもナンなので」と、「総合問い合わせ窓口」のようなところを通してしまった。そして会うことになったオバちゃん職員に、木っ端みじんにされたのだった。

イムラ「あのう、私がシンガポールの観光のためにお役に立てることはないですか?」
オバちゃん「ハ?あんたが?なんで?」
イムラ「一応私、日本の人気テレビ番組とかに取り上げられてて、けっこうシンガポールに貢献してると思うんです」
オバちゃん「ハ?なんであんたのところにテレビが来るわけ?」
イムラ「なんというか……”シンガポールで一番有名な日本人”らしいんですよ一応これでも」
オバちゃん「ハ?あんたが?!ヒーッヒッヒッヒ(絵に描いたような嘲笑)」

というわけで、オバちゃんに私の善意は伝わらなかった。それどころか、「あ、そんなに暇なら、書類の和訳、タダでやらせてあげてもいいわよ?」と言われ、憤りを感じて帰ってくるハメになった。ひとえに私の実力不足が招いた結果だったとは言え、思い出すと未だにムカっとくる。別に何かを売りつけるつもりも何もなく、純粋に自分の築いてきたものをシンガポールの発展に役立ててもらいたかっただけなのだけれど。

この一件以来私は、シンガポール政府公認ではないにしても、民間人として誇りを持ってシンガポールをPRしていこうと心に決め、SG50の際にはスカイスキャナーさんとこんな動画を作ってみたり、今月号のFRAUシンガポール特集で穴場をご紹介したりしている。

https://youtu.be/TV_DVnP3DQA 

北海道の話のはずが、すっかりシンガポールの話になってしまった。閑話休題。

観光客誘致という観点では、圧倒的に北海道よりシンガポールの方に貢献している気もする私が、なぜシンガポール政府観光局に鼻であしらわれ、一方で北海道側からはとても丁重にオファーをいただくことになったのか。そこにこの「自薦の壁」の存在が深く関わっている。「自薦の壁」というのは今私が勝手に作った表現なのだけれども、要するに「どんなものでも、自分自身でオススメする限り、大して評価してもらえない」ということね。やっぱり良いところや素敵なところ、役に立つところなんかは、自分自身で売り込むより他人に推薦してもらうに限る。今回も実は北海道庁に、私という存在を強力にプッシュしてくれた、ある人の存在があったのだ。

個人のみならず、あらゆる企業もまた「自薦の壁」と闘っている。いかに効果的に広告宣伝をしていくのか、いかに戦略的にマーケティング施策を打ち出していくのか、こうした努力は全てこの「自薦の壁」との闘いと言っても良い。社外からそれをお手伝いするマーケターはある意味、自薦の壁の内側と外側を自由に行き来しながら、壁の内側にいる皆さんの闘いを支援する航空部隊のようなものだと思う。立ち位置を正確に把握すること、それをふまえた上でアドバンテージを最大化することの大切さを、いつも心に留めておこう。

 

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